「水」の川野田實夫教授の本~「おもいで草」(南極の話が楽しい)

2月19日、大分大学の教育福祉科学部の川野田實夫

(かわの・たみお)教授の退職記念講演会があった。

川野田實夫教授の専門は「水」。

40年余を水の研究者、学者、教育者を通してこられた。

また、ご本人も人から何と言われようと「水」一筋に

フィールドに出ての研究を続けたとおっしゃっていた。

2月20日のブログで上のように紹介した教授が

本を出版された。
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一般に、大学教授の書物というと、専門分野の研究

などやたら、難しいという先入観念が働く。

今日、紹介しようとするのは難しい話ではない。

ご本人も「あとがき」に書いているように、

30歳代後半からこれまでに書き綴ったものから

撰んでもの。

「大学と南極と私」

「暮らしのことども~愛しき日々の身辺雑記帳」

「環境と教育」

「若い君たちへ」

の4項目からなっている。

南極の氷の下の「水」、中国の砂漠の「地下水」、

深海の「水」、県内の河川の「水」、水、水、水を

現地調査、分析してこられた研究者でもある。

一度でも、川野先生の講義、講演を聴いた方なら

話術がとても上手なので、「水と環境」なんていう

ちょっと遠慮したい演題の内容も分かり易く

聞くことが出来る。

そんな方の本だから、面白くないわけがない!

実際に、南極へ行ったという人はそれほど

多くないので、やはり、極地の話は興味津々である。

ただ、一般に市販されてはいない本なので

興味のある方は直接、川野先生に問い合わせを!



私の読書感を紹介するよりも、編集人の「まえがき」を

読んで頂いた方が分かりが良いと思うので、

編集人・矢田照久氏(株式会社ピースカンパニー社長)

のこの本の「まえがき」を、許可を得て記載する。

「膨らむ料理--、縮む料理--」のくだりは

まさに私も共感するところが大で、興味深く読んだ。

まえがき(矢田照久)

未来を信じ、心に愛を宿した人の折々の記

「矢田さん、僕の原稿を本にしてくれませんか?」

 草野球仲間である川野田實夫先生に、

依頼を受けたのは昨年の秋のこと。

「では、これまでの原稿、すべて見せてください」

 数日後、原稿コピーの束がドサッと届けられました。

彼は、行動の人。

動きは早いのです。

 拝見すると、大学広報誌、大分合同新聞、毎日新聞、

県広報誌、月刊ミックス、はては月刊囲碁関西まで、

掲載は多岐にわたっています。読み込んでいくと、

単発ものから南極や環境問題の連載話まで、

話題も幅広く、豊富です。

これに、私が文章依頼した週刊求人大分の若い読者

に向けた人生指南のエッセイもあります。

全126話。質量ともに十分です。

あとは、掲載話のセレクションと配列の作業くらいで、

とくにポイントは並び、です。
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 先生は、南極に行った化学者です。

ですから、南極の話(大分合同新聞「南極・近況報告」)

がホームラン、です。

時系列の原稿順なら、これが2話目に来ることになり、

四球のあと先制の2点ホームランが飛び出したような

理想の展開になります。

つづいては、広報おおいたに寄せた原稿

「故郷の歌が口ずさまれる環境」。

先生は水学者ですから、川への思いをつづった文章は

本来の領域で、それが3番目なら申し分のない

ラインナップでしょう。

さらに「新聞週間に寄せて」「単身赴任のヘボ暮らし」

と異彩を放つ寄稿文がつづきます。

よし、時系列で行ける、と方針が定まりました。

川野先生の文章の魅力の一端を、

本文からIヵ所ピックアップしてご紹介します。

先生は「膨らむものは貧しい食べもの、縮むものこそ

ご馳走なり」という独自の料理哲学を育んでいる人で、

その観察は戦後の貧しいニッポンの時代の空気感、

哀感までも伝えます。

  《貧乏人の子沢山の家庭に育った私は、子どもの

時分に切り干し大根やヒジキ、ワラビ、ゼンマイと

いった乾燥させたものをよべ食べさせられた。

(略) 
ひと握りの切り干し大根が鍋いっぱいに膨らんでいる

のを見て・・・(略)以来、調理して体積が増える食品

には何か空虚さを感じ、逆に芹の卵とじのように

鍋いっぱいの材料が調理の結果小さくなるものに

充足感を覚えるようになった・・・・》(58頁)

 実際に私も、「ステーキは焼くと縮む料理だから、

ご馳走です」という川野理論を拝聴したことがあります。

この本には、こんな味わい深い件が随所に出てきます。      

川野先生の文章の最大の特長は、

その読後感のよさにあります。

温かくて、潔くて、素直なよい文章だから、

読んでいい気分になれます。

その上、未来の希望まで匂ってきます。

どうしてそんな文章が書けるのか。                      I     
 それはきっと、川野先生に、学者としての未来を

信じる心があって、対象となる人物や事物への愛の

深さ、大きさがあるからにちがいない、

と私はにらんでいるのですが、 
                        
三宅先生や鳥居先生といった大学者に出会い、

謙虚さを身につけられたことも大きかったのでは

ないかと思います。

そういう意味で、川野先生はとても幸運な学者人生を

歩まれたのだろうな、とわかります。

 この本は川野先生の人生の折々の記です。

人生という名の道を、好奇心の赴くまま、足早に、

すたすたすたすた、ひたすらに未来を信じて希望の

先へと急いでいる、そんな川野先生の姿が

浮かんでくる本になっていると思います。

ぜひ、味わいながら、お読みください。 

編集人 矢田照久
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(退官記念講演が終わって花束を受ける川野教授)

川野先生は今後も大学で後輩の指導にあたられる

とのことなので、ますますのご活躍をお祈りします。


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    Excerpt: 「水」の川野田實夫教授の本~「おもいで草」(南極の話が楽しい) つり・うた・たま~釣り・合唱・野球を神器として/ウェブリブログ Weblog: scarpe hogan racked: 2013-04-22 11:47